投信界隈はイーマクシスリムの登場による低コスト化を迎え、ボッタくりしかないと言われていた時代は過ぎ、きちんと商品さえ選べば良い商品に巡り合える時代になりました。
そして、その低コスト化ももはや下限ギリギリを迎え、各証券会社は別の道を模索しています。
それが「レバレッジ投信」の波です。
各社レバレッジをかけた投信を世の中に送り出すことによって、今までの投資信託とは差別化をはかってきております。
レバレッジをかけた商品というのは、当然リスクが高まります。
ポラリティの高い株式にレバレッジをかけた商品であれば、当然そのポラリティの波がダイレクトに大きくなるわけで、自分のリスク許容度がよくわかっていない人や、過信評価してしまっている人にとっては買ったが最後、夜も眠れなくなる日々が続くでしょう。
しかし正しくリスク評価ができている人が使えば、リターンを押し上げてくれる商品になってくれるのではないかと思います。
そこで、今出ているレバレッジ商品のうちいくつかを何回かのシリーズで解説したいと思います。
グローバル三倍三分方ファンド(グロ3)
レバレッジ型商品を世に送り出した先駆け的商品です。
全世界の株式・債券・REITに分散投資を行い、一部の株式と債券にレバレッジをかけて合計で投資資金の3倍の資金を運用することになるファンドです。
具体的には海外先進国株式20%、海外新興国株式20%、日本REIT20%、先進国REIT20%、ここまでが現物投資です。残りの20%を先物用の証拠資金として用い、日本株を20%、日本、米国、ドイツ、イギリス、豪州の国際にそれぞれ40%ずつ投資しており、合計で300%です。
内訳は株式60%REIT40%債券200%となっており、レバレッジをかけた商品でありながら債券が多く、リスクを抑えた運用であるといえます。
設定してからコロナショック前までは順調に資産をハイペースで伸ばし続けました。
懸念点
懸念点は、商品の構造がかなり理解が難しいと思われる点です。
自分の理解が及ばぬものに投資するのはいざ暴落したときになぜ下がっているのかがわからず、狼狽売りの対象になってしまうからです。
また、今回のコロナショックでは期待されていた債券防御も役に立たず、レバレッジ型ファンドらしい下げを見せてしまいました。
全資産に分散しているとはいえ、全ての資産が売られてしまうと分散による防御が役に立たず、レバレッジをかけた分だけ下落してしまうレバレッジ型の恐ろしさが現れた格好になりました。
信託期間が2028年までというのもよくない材料です。その時期に強制決済されてしまうため、長期投資には向かないでしょう。
信託報酬は0.48%台と、レバレッジをかけているにも拘らず0.5%を切っているとかなり頑張った設定なのではないかと思われます。
コロナショックで分散がアダとなったか
全地域、全資産分散型は、どこか一か国の情勢に左右されないことが強みであり、かなりの下落耐性を持つファンドとして期待されていました。
しかし、今回のコロナショックで全世界的な暴落が発生したときには、その目論見は崩れてしまうということもわかりました。
これまでに買っていた人は甚大なダメージを受けていますが、これから買う分には経済の復活と合わせ大きく躍進が期待できるファンドなのではないでしょうか。
世の中に多数出ているゴミのような投信よりはよっぽど有益であり、期待できるファンドであると思います。