ひふみ投信は国内で最大級のアクティブファンドです。レオス・キャピタルワークスが運用しているシリーズで、証券会社から購入する場合はひふみ投信プラスという商品になります。
2008年のリーマンショックの時期に設定され、11年目を迎える本ファンドは
- 成長企業に投資
- 守りながらふやす
- 顔が見える運用
の三つのコンセプトを掲げ、主に日本の小型・中型株式に投資を行い、リーマンショック後の景気回復局面の追い風や、アベノミクスの追い風を受け日本株全体の指数であるTOPIXを大きく上回る成績をあげたことで話題になりました。
一時期圧倒的なリターンを上げたことにより、カンブリア宮殿などで取り上げられた本ファンドは瞬く間に人気が沸騰、今の地位を築き上げました。
ではこのように個人投資家に人気のひふみ投信は買ってもいいのでしょうか?
答えは買ってはいけない
結論としては買ってはいけません。理由は四つあります。
- そもそも比較対象である日本の指数の成績が悪い
- 最近の方針転換により米国株を組み入れ始めている
- 手数料が高い
- 守りながら増やすということの不可解さ
比較対象の日本指数の成績が悪い
ひふみ投信は日本の中小型株をメインに投資しているため、比較対象は日本の指数になります。
しかし日本の指数は日本の大型株の影響を強く受けますので、実質日本の大型株指数と言っても過言ではありません。
日本の大型株のみを抽出したTOPIX Core30という指数は非常に成績が悪く、2008年~2018年までほぼ一切成長していません。リスクを負っているのに成長しない日本の大企業は、株を買う価値がないのです。
対して日本の新興企業市場であるマザーズは着実な成長を続け、約2倍の成長を見せています。
つまりひふみは日本の大型株に投資をしないという方針を取るだけで勝ててしまうのです。
もちろん中小型株というのは安定しませんから、個別株として持つには倒産リスクなどが付きまといます。そこをひふみ投信が足で稼ぎ見極めをしてくれている…そんな中では本ファンドの利用価値もあったかもしれません。
しかし最近は事情が変わってきます。
方針転換により米国株や日本大型株を組み入れ始めている
主に日本の成長する中小型株に投資することで人気を博してきた本ファンドは、このようなことを最近行っています。現在ではポートフォリオの約15%ほどが米国株になっているようです。
米国株は非常に有望な投資先なので、投資対象が間違っているとは言いません。しかし、なぜこのような方針転換が行われているのでしょう?
個人投資家に人気が出すぎた
人気を博した本ファンドは多額の資金を個人投資家から集めることに成功しました。しかし、中小型株というのは時価総額が低いため、せっかく集めた資金を適切に振り分けることが不可能な状況になってしまったのです。
集めた資金に対し適切な運用が行えていないため、最近の成績はTOPIXに負けています。
この現状に、短期的にしかモノを見ることができない一時期のリターンだけを見て飛びつくようなリスク意識の欠如したもはやギャンブル狂いと言っても過言ではない個人投機家たちに罵倒されている惨状です。これは少しかわいそうになりますね。
これを補うため、米国株や日本の大型株にも進出せざるを得ない状況になっていると思われます。
しかし、成績の悪い日本の大型株や、完全に言語の違う米国株でひふみ投信のコンセプトとしている実際に足を運んで投資適格かどうか決める「顔が見える運用」というのは果たして行えるのでしょうか?私にはできると思えません。
手数料が高い
そもそも、日本の大型株や米国株に投資したいのであれば手数料が割高なアクティブファンドで行う必要は一切ありません。
米国株は投資対象として適切ですが、その場合はやはり手数料が低いインデックスファンドでよいのです。
手数料の重要さは長期投資になればなるほど増大します。
インデックスに寄せてくるのであれば、アクティブファンドはインデックスファンドに勝ち目はありません。
守りながら増やすことの意味について
この言葉について、レオスキャピタルワークスの社長である藤野英人氏は
- 守るとは基準価格が下がらないという意味ではなく、運用資産の変動率を抑えること
- 比較指数よりも変動を抑えることができたら守れたと認識
- 運用に失敗したファンドやマネージャーは自分の能力を過信し運を実力と勘違いしていた
- 致命傷を負わないように運用する。自分の予想と違う値動きをするものも一定数持つ
とざっくりと述べています。
この考え方は非常に素晴らしいと思います。さすが長年投資の世界で生き残ってきたカリスマだけあり、日本の投資家紛いの投機家たちに向けてのメッセージだと思われます。
しかし、だからこそ、それならば手数料の低いインデックス型のバランスファンドで良いのでは?という結論になってしまうのです。
インデックスファンドの平均点では我慢できない欲の深い人間たちがアクティブファンドに群がっていると思われます。
藤野氏の理念はすばらしいですが、アクティブファンドを買うような人には残念ながら届かないでしょう。だからこそ短期の負け程度で大炎上してしまうのです。
まとめ:ひふみ投信は買うには遅すぎる
ひふみ投信は設定された当初は理念通り適切な振り分けが行われていたため、莫大なリターンがありました。
最近の陰りは、人気化してしまったために集まった資金が適切に振り分けられないことにあると思われます。
かと言って無理に大型株や米国株を買うのであれば、元々の米国インデックスに勝ち目はありませんし、インデックスのリターンで満足できない欲深な投機家を納得させることも難しいでしょう。
つまり、今からひふみ投信を買うのは遅すぎるということになります。
やはりいつ始めても問題ないインデックス投信が一番ですね。