株主優待とは、株を保有してくれている投資家を対象に、企業が任意で自社製品などの贈り物をしてくれる日本独自のシステムです。
桐谷さんという優待のみで生活をする人が話題になり、このシステムは個人投資家に人気のものとなっています。優待を目当てに投資をしている個人投資家も多いですね。
しかし、ハッキリ言ってしまうと株主優待という仕組みは投資家の利益を棄損し、リターンを低下させている存在なのです。
優待を送るコストは株主負担
株主優待は人気のシステムで、1単元のみ保有すれば優待がもらえるような企業が多いです。
例えば商品券を贈る場合、商品券の調達コスト、包装コスト、郵送コストなどが必要になります。
これらを1単元のみ保有している株主にも送るため、コストは増大していきます。
そしてそのコストというのは、その企業の利益から捻出されます。
企業の利益というのは、株主が本来得るはずだったリターンです。
つまり、株主優待というのは株主が自分たちの手で企業の利益を圧迫し、トータルリターンを減らしている行為にすぎません。
その優待が不要だった場合、さらにリターンが下がる
企業から送られてきた優待に使い道がなく不要だったり、期限を忘れて使い忘れてしまった場合、得られるはずだったリターンはさらに減少することになります。
不要だった場合は金券ショップなどで売却してお金に変えたりしますが、当然100%額面通りとはいかず額面が減った値しか得ることができません。
また、いちいち店舗などに出向いたり郵送する必要があります。
使い忘れて紛失してしまった、期限切れになった、などの場合は利益を100%失うことになるのです!
これらの手間がかかり悲しい事態は配当金や無配の成長株などにきちんと投資していた場合起きることはありませんでした。
その企業をいちいちチェックする必要がある
株主優待というものは、株主の権利ではなく、企業の善意というスタンスになっています。
これはどういうことかというと、優待を貰える条件や内容がコロコロ変わったり、果てはこっそりと廃止されることもあるということを意味します。
いちいちその企業の優待がどうなったかをチェックする不毛な時間が生まれ、心休まる日は訪れないでしょう。
機関投資家から買われにくくなる
こうした各種の利益棄損要素もあり、機関投資家は日本株を敬遠することになります。
無駄な処理が発生し、本来得られるリターンが得られないのだから当たり前ではあります。
機関投資家が日本株を買わないということは、大量に株を買ってくれる投資家が存在しないということを意味するため、株価があがりません。
これはETFなどでも同じで、ETFは個別株の集合体であるため、どこかがこの不都合の割を食っており、そのコストは最終的に手元に日本株や日本ETFを置いている人に降り注いできます。
そのような日本株は当然見向きもされず、株主優待というのは日本の株価が一向に上昇しない一つの原因を担っているのです。