投資の王道は「長期・積立・分散」であり、特にアメリカの指数を対象とするETFやインデックス運用の投信などはその最適解といえます。
このETFとインデックス投信ですが、同じ指数を対象とする場合、実は両方とも中身にそこまで差はありません。ですので、それ以外の部分で優劣を決めていく必要があります。
結論としては、投信の方が手間がかからないためオススメです。
しかし、ETFにしかないメリットもあります。その違いを見ていきましょう。
違い1:購入単価
購入最低単価は投信の方が有利です。
100円から投資可能な商品も多く、少額からでも買い付けしやすいといえるでしょう。
一方ETFは2万円前後からの購入単価となっております。これでも個別株よりは安いですね。
違い2:購入手数料
購入時にかかる手数料ですが、こちらも投信が有利です。
投信にはノーロード(購入手数料無料)の商品があり、そのような商品を選んで買うことにより購入時の手数料をゼロに抑えることが可能です。
一方ETFは、ドルでしか購入することができないため、円からドルに通貨を交換するときに為替手数料、そして米国ETFを購入するときに証券会社に手数料を払わなければいけません。
円ドル交換の手数料は最安値で1ドルあたり4銭ほど(条件あり)、購入時の手数料は購入金額の0.45%と設定されている場合がほとんどで、最低でも5ドル、最高でも20ドルと設定されていることが多いです。
最低でも5ドルかかってしまうので、手数料の0.45%が5ドルを下回らないように、円換算で15万以上は一度に買い付けを行いたいところです。
すると、前述の購入最低単価が15万~程度となり、あまりお手軽感はなくなってしまうのが残念なところです。
違い3:保有コスト(信託報酬)
保有コスト(信託報酬)はETFの方が有利です。
もっともメジャーな米国ETFの信託報酬は0.03%程度と、超低コストで運用が可能です。
一方投信も近年の競争激化にともない、超低コストな商品が開発されており、0.1%程度の信託報酬となっています。
年間にかかる手数料だけで見た場合はETFの方がよさそうですね。
違い4:配当金再投資効率
配当金再投資効率は投信の方が圧倒的に有利です。
米国投信は配当金を出さず、自動的に再投資に回すファンドがメジャーなので少額の配当金からでも複利の効果を最大限に享受することができます。しかも自動なので何もする必要はありません。
一方ETFは配当金としてドルが手元に来ます。手元に来るということは税金がかかります。
通常投資で得た利益には約20%の税金がかかりますが、それに加え外国株に投資していると10%の税金が余計にかかります。この10%は申告することで大部分取り戻すことができますが、手間です。
つまり、配当金を全額再投資するとしても、投信と違い得た利益の70%ほどしか再投資に回すことができません。
さらに、前述した購入コストの壁があるため、少額の配当金が出たからといってすぐ再買い付けしようとすると手数料にほとんど持っていかれてしまうことになり、その間の資金は再投資に回すことができません。
人間は意志が弱い生き物なので、配当金が手元に来ると使ってしまいたくなるのもマイナスです。
違い5:制度の優遇
制度の優遇は投信の方が有利です。
貯蓄から資産形成へのスローガンが政府によって叫ばれている今、政府は長期投資を始める方に様々なメリットがある制度を設計しています。
それがNISAやつみたてNISA、iDecoといった利用することによって税金面で優遇される制度になります。これらの制度のうち、長期投資に適しているつみたてNISAやiDecoでは米国投信が設定されており、制度の税金優遇を最大限に受けることができます。
一方海外ETFにはそのような長期投資に向いた税金面の優遇は今のところありません。
違い6:取引のしやすさ
取引のしやすさはETFの方がやや有利です。
これはETFが上場しているからによるもので、リアルタイムな市場価格で取引することができます。
一方、投信は非上場であることから、リアルタイムな価格で取引することはできず、一日一回算出される基準価格で取引されることになります。
一日に何度も取引を繰り返したいというならばETFの方が使い勝手がいいですが、長期投資を見据えているならばリアルタイムで取引できるメリットは特にありません。
違い7:確定申告の手間
確定申告の手間は投信の方が有利です。
というよりも、特定口座で取引を行っている限り、投信の場合確定申告は原則不要です。つまり、手間はゼロです。
一方外国ETFの場合、特定口座で取引を行っていたとしても、確定申告を行う必要があります。それは税金が外国株だと現地で10%余計にとられているため、それを確定申告で取り返す必要があるためです。もちろん申告しなくても構いませんが、その場合10%はあきらめることになります。
まとめ:基本的に投信を推奨
まとめると
- 購入最低単価
- 購入手数料
- 配当金再投資効率
- 税制面の優遇
- 確定申告等の手間
は米国投信の方が有利です。
- 年間保有コスト
- 取引のしやすさ
は米国ETFの方が有利です。
このことから、一般人が毎月の給料から少しずつ積み立てていく場合、税金や手数料の都合上、投信の方が圧倒的に有利です。
年間保有コストはETFの方が低いため、大量のETFを一度にまとめて購入し、後は追加投資をしないスタイルだとETFの方が有利に見えるかもしれませんが、配当金再投資効率が投信のほうが高いためやはり投信の方が有利になります。
ETFの方が有利になるパターンは、配当金のみで生活が可能であり、もはや再投資する必要性がない場合に限られるでしょう。
つまりそのような方は例外なので、一般人は投信を選択し、政府の制度による税金優遇に乗っかっていくのが最も賢い選択といえるでしょう。